先日は中高生向けのフランス語、冬休みオンライン留学を紹介しました。

突然ですが、皆さんは中高生の第二外国語教育についてどのようにお考えでしょうか?

グローバル化、多様化が進む現代社会では英語の重要性が高く、試験形式も4技能に変わるなど注目されています。

私はフランス語を学習して、改めて言語は文化そのものだと思いました。

フランス文化で重要なことを、言語や表現の仕方からさらに深く知ることができました。
ただ語学力を伸ばすだけではなく、語学の面白さに気がつくことができたのもフランス語のおかげです。
普段当たり前に使っている日本語の特徴や、外国語との違いを改めて考えるきっかけにもなりました。

日本語を母国語として日本で育った私にとって、フランス留学での生活から体験したフランスの文化はもちろん鮮明な記憶として残っていますが、フランス語を学ぶことはフランス文化をより深く理解することにつながりました。

私がフランス語を学習して感じたことは、後半にお話しします。

中等教育機関における第二外国語の教育

フランスの中等教育では第二外国語が当然のように展開されています。

私が紹介しているサンドニ・インターナショナルスクールでも、中学生からスペイン語・ドイツ語・中国語の中から選択履修が可能です。

学校の名前にもある通り、インターナショナルな学校ですので、英語にもかなり力を入れており、サンドニの英語教育、留学生が在学するインターナショナルな環境を目的に、遠方のフランス国内からも寮に暮らしながら通うフランス人生徒もいるほどです。

日本にも英語教育と並行してフランス語教育を実施している学校もあります。

France et moi がフランス留学のお手伝いをしている、大妻中野中学校・高等学校では、英語教育だけでなくフランス語教育を受けることができます。

中高生のうちから第二外国語を学習することの意義について、興味深い記事となっています。ぜひ参照ください。

フランス語の習熟とともに、英語圏とは異なる文化への視点を獲得するという観点から、多様性を受容する意識の向上を目指し、生涯にわたって、複数の外国語を学び続ける意義を体得することも期待しています。

大妻中野中学校・高等学校HPより

読売オンラインから_フランス語教育校としての大妻中野

また同校が読売新聞オンラインに特集されています。同校のフランス語教育やフランス留学に対する取り組み、またフランス語を生かした大学進学について紹介されています。

フランス語は英語と並んで世界の公用語であり、複数の外国語を学ぶことで多角的な視点を持ち、文化の異なる人々を受け入れるマインドセットをより深めることができると考えたからです。

読売新聞オンラインより

【特集】フランス語教育で広がる生徒の将来の可能性…大妻中野

私がフランス語を通して学んだフランス文化

フランス語を学んで私が気がついたことを紹介します。
現地に生活するだけではわからない、フランス語を学習したからこそ感じたことです。
日本にいながらも外国語学習を通して、異文化に触れることができますね。

文章がはっきりしている

文章の構造として主語・動詞を必ず必要とするため、常に文章がはっきりしています。
また冠詞や名詞・動詞・形容詞などから、数や性が特定できるのも、文章が明確化しやすい特徴だと思います。
逆に日本語は主語が必要ないことが良くありますよね。また日本語には冠詞は存在しませんし、男性名詞・女性名詞がないことはもちろん、同じ形容詞が性別や数によって語尾が変わるなんてこともありません。

例えば日本語の場合は「友達に会う」と言っても性別は特定しないとわかりません。
フランス語の場合は、”Je vois un ami.”と言ったら「私は男友達に会う」となり性別を特定せざるを得ません。
しかし複数の場合は、”Je vois mes amis.”と言うと、複数ということはわかりますが、1人でも男性がいれば”amis”。そして複数の女友達”amies”でも会話では同じ発音のため、性別はよくわかりません。しかしその後の会話の中で、主語として”ils”「彼ら」や”elles”「彼女ら」として登場するときには性別がはっきりします。

否定形・揶揄的な表現を多用する

「難しい」と言うのに、”Ce n’est pas facile.”「簡単ではない」とよく言います。
「恐ろしい」と言う意味の”terrible”は、「すごい」と言う意味もあります。(良い意味にも悪い意味にも使えるという点では、日本語の「やばい」に似ていますね。)
それをさらに否定形で “Ce n’est pas terrible.” 「いまいち、いけてない」と言ったりするので慣れるまでは混乱しました。

風刺画のことで今もまた問題になっていますが…
この特徴はフランス人のシニカルさが良く現れていると思います。
フランス人は冗談を良く言うので、それも理解できるようになるとより文化に入り込むことができますね。

美しく発音することが大事

私がフランス語を始めた理由の一つでもある「フランス語の発音の美しさ」。
美しく流れるメロディのような、イントネーションも特徴的ですよね。

例えば、フランス語には、発音が美しくないからと、付け足される音があります。
“Où va-t-il ?” “Aime-t-elle le chocolat ?” “Qu’est-ce que l’on fait ?”
母音が続くのは発音がしづらく、美しくないと言うことです。

また最初の音が母音の単語につく冠詞”le” “la”が、”l’enfant”のように”e” “a”がなくなりアポストロフに変わり単語にくっつくエリジオンも美しい発音のためです。

美しく発音することに命かけている言語なのだと思います。

論理的に自分の考えを主張することを求められる

フランス国民教育省認定の公式フランス語資格、DELF・DALFの試験問題の作文で必要とされるのは、論理的な文章の構成です。

A1・A2は友人向けの手紙など簡単な内容から始まりますが、B1・B2になると市長宛の手紙などになります。団体の代表として、社会的な問題について、相手の代表者に対して考えや要求を主張するような抗議文の作文です。

私が日本の中等教育で受けた国語教育では、ましてや英語教育では、1度もこのような抗議文を書く練習をしたことはありません。これは文化の大きな違いだと思います。

フランスではいつも正確に論理的に自分の考えを主張することが求められます。

学校教育でもこれは重要な点で、バカロレア試験(高校卒業時に受ける中等教育修了&高等教育機関への入学許可を兼ねた試験)にも口頭試験で自分の考えを試験官に説明する形式の試験が存在しています。

言葉の端々にもフランスらしさ

日本語や多くの言語で表現される「ビール腹」は、フランス語では「ブリオッシュ(la brioche)」で表現されます。
「どうやってビール腹を解消する?」なんて記事のタイトルは ”Comment perdre sa brioche ?” となります。

こちらが本物のブリオッシュです。

フランスのお酒と言ったら?ワインですよね。
ビールを飲みすぎて太ると言う発想はなく、太る=ブリオッシュの形に似たお腹になると言う発想はまさにフランスならではです。

他にもたくさん日常の端々にフランスならではの言い回しがあります!

最後に…

私がフランス語を学習し始めたのは社会人8年目。
第二外国語の習得はもちろん大人にとっても視野を広げる良い機会です。

しかし中高生という吸収力もあり、率直に物事を感じることができる年代のうちに、外国語学習、特に第二外国語を通して多様性を身に付けることは本当に貴重な経験だと思います。

私が感じたこと以外にも、中高生の皆さんの目線で感じることが無限にあると思います。
フランス語を通して感じたフランス文化について、ぜひコメントなどで教えてもらえたら嬉しいです。

フランス語の学習に挑戦する中高生の皆さんを応援しています!

 


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